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偶然の再会、そして変化の予感(官能小説)

「あの・・、もしかして、ケンジくん?」

カフェの窓際で、ぼんやりと雨上がりの街を眺めていた俺は、背後からの、耳をくすぐるような甘い声に弾かれたように振り返った

そこには、花屋の大きなアレンジメントを抱えた女が立っていた

梅雨の晴れ間

まだ濡れそぼったアスファルトが、彼女の白いワンピースに陽光を反射させ、目を細めるほど眩しくきらめく

見慣れない顔だ

だが、その声の響きには、確かに聞き覚えがあった

 

まじまじと、その女を見つめる

丸みを帯びた、なだらかな額

そこからすっと通った鼻筋

そして、少しだけ弧を描く口角が、妙に生々しい記憶を呼び覚ました

記憶の糸を手繰り寄せ、ようやく点と点が繋がる

 

「もしかして、ユカ・・?」

俺の呟きに、彼女はふわりと、花がほころぶように笑った

ああ、間違いない

高校の同級生、斎藤優香だ

 

しかし、俺の知る、あどけない少女だった優香は、十年という歳月を経て、もはや完全に「女」と化していた

肩までしなやかにウェーブする髪は、まるで誘うように揺れ、耳元で揺れる小ぶりのピアスが光を放つ

そして何よりも、胸元がほどよく開いたワンピースから覗く、滑らかな肌と、鎖骨から胸の谷間へと続く緩やかな曲線が、彼女の成熟した肉体を雄弁に物語っていた

喉がごくりと鳴るのを、辛うじて押し殺す・・

 

「久しぶりだね、ケンジくん! 全然変わってないね」

いや、変わったのはお前の方だろう

それも、とんでもなく、だ

そんな言葉が喉の奥で詰まる

俺は相変わらず冴えない営業マンで、日々変わり映えのないルーティンをこなしているだけの男だ

だが、目の前の優香からは、生活に疲れた陰など微塵も感じられない

むしろ、潤いと自信に満ち溢れ、まるで蜜を湛えた果実のように、見る者を引き寄せる魅力があった

既婚者だろうか?

思わず、左手の薬指にきらりと光るものがないか、その白い指先を凝視してしまった。

 

「うん、本当に久しぶり。ここで何してるんだ?」

「この近くで友達の結婚パーティーがあったの。それで、そのお花をもらって帰るところ」

 

そう言って、彼女は抱えた花束を少し持ち上げた

華やかなバラやカーネーションの間から、艶やかな甘い香りが漂い、俺の鼻をくすぐる

結婚パーティーか

ならばやはり、彼女もまた、どこかの男の妻なのか・・

俺の胸に、かつての淡い恋心が、単なるノスタルジーとしてではなく、もっと生々しい残像として蘇った

高校時代、数回だけ放課後一緒に残って勉強した記憶がある

あの頃の優香は、もっと控えめで、目が合うとすぐに俯いてしまうような、初々しい少女だったはずだ

それが今や、こんなにも挑発的な色香をはなっている・・

 

「よかったら、ちょっと座らない? 俺、もう少し時間あるし」

自分でも驚くほど、その言葉は淀みなく口を衝いて出た

まるで、何かに突き動かされるように・・

彼女は一瞬、戸惑ったような、それでいて期待を秘めたような表情を見せたが、すぐに「いいの? じゃあ、少しだけ」と微笑んだ

白い膝丈のワンピースの裾がひらりと舞い、テーブルに二つ隣の席に腰を下ろす

俺はアイスコーヒー、彼女はアールグレイを頼んだ

彼女がグラスにストローを差す指先は、細く、しなやかで、その動き一つ一つに色気を感じてしまう

 

「ケンジくんは今、何してるの?」

「俺は、まあ、営業職でさ。毎日数字に追われてるよ」

「そっかぁ。大変だね」

 

俺の隣でカップに口をつけながら、優香はしっとりとした、どこか湿度を帯びた眼差しを俺に向けた。

その瞳の奥に、確かにかつての面影を見つけながらも、同時に、俺の知らない成熟した女性の色気が、ねっとりと絡みついているように感じた

彼女の視線が、時折、俺の顔から首筋へと滑るような気がして、体温がふわりと、いや、じわりと上昇するのを感じた

まるで、彼女の肌の温もりが、今にも俺の身体に触れるのではないかと錯覚するほどに

 

互いの近況を話し合ううちに、彼女が五年前に結婚したことが分かった

旦那さんは大学時代の先輩で、とても優しい人だと、はにかむように言った

その言葉を聞いた瞬間、心臓の奥がずくりと痛んだが、同時に、妙な安堵感もあった

ああ、やはりそうか、と

だが、その安堵感の裏には、言いようのない、黒い感情がうずまいていることも自覚していた

 

しかし、会話の端々から、人妻となった彼女の、ある種の物足りなさや、日常への倦怠感が垣間見えるような気がした

もちろん、気のせいかもしれない

けれど、時折見せる、どこか遠くを見るような、諦めにも似た瞳や、ふいに訪れる沈黙に、俺は微かな、そして甘美な予感のようなものを感じずにはいられなかった

その予感は、まるで薄いヴェールのように、しかし確実に、俺たちの間に張り巡らされていく

この偶然の再会は、もしかしたら、俺たちの人生に、予期せぬ、しかし抗い難い変化をもたらすのかもしれない

その変化が、どんな熱を帯びたものになるのか、俺はもう、その誘惑から逃れる術を知らなかった。

予兆:変化する関係性

あれから数日、俺は優香から送られてきたメッセージを、何度も何度も読み返していた

たった一度の再会で交換したLINEのID

その気軽さが、かえって俺の心を落ち着かせなかった

他愛もない挨拶から始まったやり取りは、すぐに高校時代の思い出話へと移り、やがて、お互いの「今」を語り合うようになった

彼女からの返信はいつも、こちらの探るようなメッセージに、まるで期待しているかのように素早く届いた

 

「この前はありがとうね。ケンジくんと話せて、なんだか久しぶりに学生時代に戻ったみたいで、楽しかったな」

 

そんなメッセージの後に、可愛い猫のスタンプが添えられている

そのスタンプ一つで、俺の脳裏には白いワンピースに身を包んだ優香の姿が鮮やかに蘇る

あの時、カフェで交わした会話の端々に感じた、彼女の秘めたる物足りなさ・・

それが、確信へと変わりつつあった

 

そして、二度目の誘いは、俺からではなかった。

「来週の金曜日、仕事終わるの遅くなっちゃうんだけど、もしよかったら軽く飲みに行かない? ちょっと、誰かに話を聞いてほしいことがあって・・」

 

まるで蜘蛛の糸のように、そっと差し出された誘いに、俺は迷うことなく飛びついた

きっと、今度は二人きりで・・

そして、もっと深い話ができるはずだ

俺の胸の内には、ただの昔の同級生との再会というにはあまりに生々しい期待が膨らんでいた


金曜の夜、待ち合わせのバーは、少し薄暗く、ジャズが控えめに流れる落ち着いた空間だった

優香は、今日もうっすらと肌が透けるような、黒のサマーニットを着ていた

首筋から肩のラインにかけて、しっとりとした肌が垣間見え、その色香に俺は息をのんだ

髪はふわりとサイドに流され、華奢なピアスが揺れるたびに、かすかに甘い香水の匂いが漂う

それは、あの日の花束の残り香ではなく、彼女自身の匂いなのだと、本能が告げていた。

 

「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

グラスを傾けながら、優香は伏し目がちに呟いた

その声は、昼間の明るさとは違い、どこか湿り気を帯びていた

 

「ううん、俺も最近、誰かとゆっくり話したいって思ってたから」

グラスの氷がカランと音を立てる

アルコールが、普段は抑え込んでいる理性の蓋を緩めていく

彼女が、少しずつ、夫との関係について語り始めた

 

「旦那さんは優しいんだけどね、なんていうか・・。最近、一緒にいても、心が通じ合ってないっていうか。ただ、隣にいるだけ、みたいな・・」

 

彼女の指が、グラスの縁をなぞる

その仕草一つ一つに、俺は魅力を感じていた

彼女が抱える満たされない思いが、彼女の唇から零れ落ちる言葉だけでなく、その仕草、その視線、そして、その声の震えからも伝わってくる

俺は相槌を打ちながら、彼女の言葉の裏にある、もっと深い感情を探った。

 

「ケンジくんは、結婚とか考えてないの?」

不意に、優香が顔を上げて、真っ直ぐに俺を見つめてきた

その瞳は、まるで問いかけるように、あるいは、何かを誘うように、俺の心を揺さぶった

 

「俺は・・まあ、縁がなくて。仕事ばっかりで、気づいたら歳だけ食ってたって感じかな」

自嘲気味に笑って見せたが、その言葉には嘘がなかった

だが、今の俺は、目の前の優香から放たれる甘い誘惑に、確実に支配され始めていた

 

会話が途切れた一瞬、彼女の指先が、俺のグラスにそっと触れた

触れた、というよりは、かすめた、という方が正しいかもしれない

だが、その一瞬の接触が、俺の肌に火傷のような熱を残した

彼女はすぐに指を離したが、その頬は微かに朱に染まっているように見えた

 

「ごめん、グラス、倒しそうになった」

そう言って、彼女は軽く笑ったが、その目は俺から逸らされなかった

その視線は、まるで磁石のように俺を引きつけ、吸い込まれるような錯覚を覚える

薄暗い照明の中で、彼女の瞳は潤み、濡れた光を放っていた

その瞳は、言葉以上に雄弁に、何かを求めているようだった

 

バーを出ると、街のネオンが雨上がりの路面に反射して、妖しく光っていた

並んで歩く俺たちの間には、言葉にはできない、熱い空気が漂っている

彼女の肩が、歩くたびに俺の腕に触れる

そのたびに、俺の心臓は激しく波打った

 

「もう少し、話さない?」

気づけば、俺はホテルのエントランスへと続く道を選んでいた

優香は何も言わなかったが、俺の横をぴったりと付いてくる

その沈黙は、彼女の肯定であり、同時に、これから起こるであろう事態への、甘美な予兆でもあった

エントランスの自動ドアをくぐる時、彼女は一瞬、はにかむように俺を見上げた

その瞳の奥で、微かに炎が揺らめいているのが見えた

誘惑:一線を越える夜

エレベーターの扉がゆっくりと閉まる

カゴの中は俺と優香、そして静かに流れるBGMだけだった

密室・・

逃げ場のない空間で、優香のまとう甘い香水の香りが、俺の理性をさらに揺さぶる

彼女は伏し目がちに、だがその白い指先は、まるで俺の心を測るかのように、手元のクラッチバッグをぎゅっと握りしめていた

その仕草に、彼女の内心の揺らぎが透けて見える

 

「本当に、いいの?」

俺の声は、思ったよりもかすれていた

優香は何も言わない

ただ、エレベーターの階数表示を見つめるその横顔は、微かに紅潮しているように見えた

目的の階に到着し、扉が開く

廊下は静まり返り、他の人の気配は一切ない

一歩、また一歩と進むたびに、足音が妙に大きく響いた

 

部屋のカードキーを差し込み、ドアを開ける

中は、薄暗い間接照明が灯り、窓の外には夜景が広がっていた

優香は、一瞬立ち止まり、まるで初めて足を踏み入れる未知の場所を測るように、ゆっくりと部屋の中へと入った

俺はドアを閉め、音を立てずに鍵をかけた

カチリ、と小さな音が、やけに大きく、決定的に響いた

 

「何か、飲む?」

震える声で尋ねる俺に、優香は首を振った

そして、くるりと振り返り、真っ直ぐに俺を見つめた

その瞳は、昼間のカフェで見た時よりも、バーで見た時よりも、さらに潤み、情欲の色を帯びていた

 

「ケンジくん・・」

彼女が、かすれた声で俺の名前を呼ぶ

その声に、あらがうことのできない引力のようなものを感じた

一歩、また一歩と、俺は優香に近づく・・

優香は後ずさりすることなく、ただ静かに俺を見上げている

視線が絡み合い、互いの呼吸が、だんだんと熱を帯びていくのが分かった

 

俺の手が、優香の頬にそっと触れる

ひんやりとした指先が、彼女の温かい肌に触れた瞬間、彼女の身体が微かに震えた

だが、拒絶はない

そのまま、指先で彼女の頬をなぞり、顎のラインを辿る

しっとりとした肌の感触が、俺の指先にまとわりつく

 

「やめとこっか・・?」

最後の理性で、そう呟いたが、その言葉には何の力もこもっていなかった

むしろ、彼女に「やめないで」と懇願しているようだった

優香は、首を横に振る

その瞳から、雫がこぼれ落ちそうになるのを、俺は親指でそっと拭った

 

「もう少しだけ・・」

かすれる声で、彼女が呟く

その言葉は、俺の最後のたがを外すには十分だった

俺の指先が、彼女の艶やかな髪を梳き、耳の後ろへと滑り落ちる

そして、そのまま、黒のサマーニットの襟元へと向かった

 

ゆっくりと、ニットの襟元を広げる

するすると滑るような肌触りのニットは、あっけなく彼女の鎖骨を露わにした

そこから、ゆるやかに盛り上がる胸の谷間が、照明の中で妖しく影を落としている

彼女の鼓動が、俺の指先を通して伝わってくる

ドクン、ドクンと、焦燥にも似た速度で脈打っていた

 

「っ・・」

優香が、小さな声を漏らした

俺は躊躇することなく、そのニットの裾に手をかけ、ゆっくりと持ち上げた

白い肌が、少しずつ、しかし確実に露わになっていく

ひんやりとした空気に触れた肌が、鳥肌を立てた

それでも、彼女は俺の動きを止めない

むしろ、その瞳の奥では、もっと先へと進め、と促しているようにも見えた

 

腕を上げさせた彼女のニットを、頭から脱がせる

するりと抜けた布地の奥から現れたのは、淡いピンク色のレースのブラジャーだった

繊細なレースの隙間から覗く肌は、柔らかく、そして温かそうだった

吐息が漏れるほどに完璧な、その女性らしい曲線に、俺の理性の残骸は粉々に砕け散った・・

 

「綺麗だ・・」

思わず呟いた俺の言葉に、優香は恥ずかしそうに目を伏せた

だが、その身体は、拒否することなく、俺の手を受け入れている

俺の手が、ブラジャーのホックへと伸びる

一瞬の躊躇・・

だが、ここで立ち止まることは、もうできなかった

カチリ、と小さな音がして、彼女の背中からブラジャーが解放される

 

するりと肩から滑り落ちたレースの布は、ベッドの上に音もなく落ちた

そこに現れたのは、純白の肌に包まれた、完璧な女性の胸だった

形の良い乳房は、重力に逆らうように上を向き、その先にある乳首は、すでに微かに硬く尖っていた

俺の視線が、そこに吸い寄せられる

 

優香は、顔を真っ赤にして、両腕で胸元を隠そうとした

だが、その動きは緩慢で、まるで俺に「どうぞ」と言っているかのようだった

もう、後戻りはできない

二人の間に、一線を越える熱い空気が満ちていた

融合:抑えきれない欲望

剥き出しになった優香の胸が、とろけるような甘い香りを放っていた

理性はとうに外れ、俺の指先は震えながら、その柔らかな膨らみに吸い寄せられる

熱い掌で優しく包み込むと、彼女の身体が大きく震えた

その感触は、想像以上に柔らかく、そして温かかった

吸い付くような肌の感触に、ゾクゾクと背筋に電流が走る

 

「んっ・・」

優香の口から、甘い吐息が漏れる

俺の親指が、硬く尖った乳首をそっと撫でると、彼女の身体がびくりと跳ねた

もう片方の手は、彼女の腰に回し、その引き締まった曲線に沿って下へと滑らせる

ワンピースの下に残された、淡いレースのショーツが、薄い膜のように存在を主張していた

 

熱を帯びた指先が、ショーツのゴムの縁をなぞる

そのまま、ゆっくりと、そしてためらいがちに、その布地の中へと滑り込ませた

太ももの内側を這う指先は、優香の肌の滑らかさと、微かな熱を捉える

彼女の身体が、弓なりに反り、小さな、しかし切実な喘ぎ声が漏れ出した

 

「ケンジくん・・、もっと・・」

半ば意識がこんとんしたような声で、優香が懇願する

その言葉に後押しされるように、俺の指は躊躇なく、優香の秘められた聖域へと辿り着いた

触れた瞬間、温かい粘液が指先にまとわりつく

すでに十分に濡れていることが、その熱気と共に伝わってきた

 

ゆっくりと、その潤んだ場所を愛撫する

クリトリスを優しく撫で上げると、優香の全身が戦慄し、短い悲鳴のような息が漏れた

腰が何度も持ち上がり、まるで俺の指に吸い付くかのように擦り寄ってくる

その刺激に、俺自身も限界に近づいていた

 

「ユカ・・」

俺は、優香の身体をそっと抱き上げ、ベッドへと運んだ

ふかふかのシーツにその身を横たえると、彼女は恍惚とした表情で俺を見上げた

その瞳には、羞恥など微塵もなく、ただただ、抑えきれない情欲だけが揺らめいていた

 

俺の身体が優香の上に覆いかぶさる

硬く熱を帯びた俺のものが、彼女の蜜で濡れた中心に、そっと触れた

優香の身体が、小さく震える

 

「お願い・・入れて」

懇願にも似た優香の声に、俺はもう耐えれなかった

ゆっくりと、だが確実に、俺のものが彼女の中へと吸い込まれていく

熱い粘膜が絡み合い、奥へ奥へと進むたびに、優香の身体が大きく震え、甘い吐息が途切れ途切れに漏れ出す

 

「んんぅっ・・! あぁっ・・!」

完全に結合した瞬間、優香の身体がピクリと跳ね、恍惚に顔を歪めた

濡れた粘膜の摩擦音が、部屋に響く

俺はゆっくりと腰を揺らし始めると、優香の腰も、まるで合わせるかのように上下に動き出した

 

最初はゆっくりと、互いの感触を確かめ合うように・・

そして、だんだんとその速度を増していく

ドクン、ドクンと、互いの心臓の音が重なり合う

湿った肌が擦れる音、熱を帯びた吐息、そして、優香の甘く、淫らな喘ぎ声が、部屋を満たしていく

 

「もっと・・、そこぉ・・っ、いくっ・・!」

優香の声が、俺の耳元で甘く響く

彼女の身体は、すでに完全に俺を受け入れ、求めるままに動いていた

深く突き上げるたびに、優香の背中がしなり、爪先がピンと伸びる

その快感に、俺は自分がどこにいるのかも分からなくなるほどだった

 

「あぁっ・・! いくっ・・ぅうっ・・!」

優香の身体が大きく痙攣し、絶頂の波が押し寄せる

彼女の身体は俺に強くしがみつき、爪が背中に食い込むのも構わなかった

子宮の奥を鷲掴みにされるような快感に、俺もまた、意識が遠のくほどの興奮に包まれていた

 

「ユカ・・!」

深く、そして激しく突き上げ、俺もまた、優香の熱い内側で、全てを解放した

熱い塊が、彼女の身体の奥深くに注ぎ込まれる感触

優香は、俺の胸に顔を埋め、震える身体で俺を抱きしめ返した

 

二つの身体は、まだ熱く絡み合ったまま、激しい呼吸を繰り返していた

汗で濡れた肌が、ひんやりとしたシーツに触れ、微かな快感を残す・・

部屋には、熱を帯びた俺たちの吐息と、甘い体液の匂いが満ちていた

まるで、この空間そのものが、俺たちの欲望に染め上げられたかのようだった

余韻:そして、これから

激しくぶつかり合った欲望の嵐が過ぎ去り、部屋にはただ、二人の荒い息遣いだけが響いていた

汗で濡れた肌が、ひんやりとしたシーツに触れるたび、微かな震えが走る

俺の腕の中で、優香はまだ微かに身体を震わせ、濡れた瞳で天井を見つめていた

その表情は、恍惚と、そしてどこか満たされたような、複雑な感情が入り混じっていた・・

 

俺は、優香の柔らかな髪をそっと撫でる

まだ熱を帯びた彼女の身体から伝わる温もりは、現実感を伴って、今起こったばかりの出来事を俺に突きつけていた

罪悪感がない、と言えば嘘になるだろう

だが、それ以上に、今まで感じたことのない、強烈な充足感が俺の心を支配していた

 

「ケンジくん・・」

優香が、かすれた声で俺の名前を呼んだ

その声は、甘く、そしてどこか頼りなげで、俺の胸を締め付けた

 

「ごめん・・」

俺は、謝罪の言葉を口にしたが、それが何に対するものなのか、自分でも明確には分からなかった

彼女の夫に対するものか、それとも、この関係を始めてしまったことに対するものか・・

 

優香は、首を横に振った

そして、俺の胸に顔を埋める

その熱い吐息が、俺の肌に触れる

 

「ううん・・、私の方こそ・・」

彼女の言葉は、そこで途切れた

けれど、その震える身体が、彼女もまた、この行為を「間違い」だと認識している一方で、同じくらいの、あるいはそれ以上の「何か」を感じていることを雄弁に物語っていた

 

しばらくの間、俺たちは何も言葉を交わさなかった

ただ、互いの体温を感じながら、静かに抱き合っていた

時間が止まったような、しかし、どこか現実から切り離されたような、不思議な感覚だった

夜景が光る窓の外では、街の喧騒が遠く聞こえるが、この部屋の中だけは、永遠にも思える静寂が満ちていた

 

やがて、優香がゆっくりと俺の腕の中から身体を起こした

乱れた髪を指でとかし、少し潤んだ瞳で俺を見つめる

その目は、少しだけ、寂しさを滲ませているようにも見えた

 

「もう、こんな時間・・」

時計を見ると、すでに日付が変わっていた

優香は、ベッドサイドに散らばった自分の服に視線を落とし、小さくため息をついた

その仕草に、ふと、夢のような時間が終わり、現実へと引き戻される感覚を覚える・・

 

「気をつけて帰るんだぞ」

俺は、精一杯平静を装ってそう言った

優香は何も答えず、ただ微笑んだ

その笑みは、どこか諦めにも似ていて、同時に、たえがたい魅力をそなえていた。

 

彼女が身支度を整え、部屋を出ていく

ドアが閉まる音は、この夜の終わりを告げる、静かで、しかし確かな合図だった

一人残された部屋には、優香の甘い香水の香りと、二人の欲望の残像が、まだ確かに残っていた

 

ベッドに横たわり、天井を見上げる

あの、しっとりとした肌の感触

甘くすけるような喘ぎ声

そして、俺の腕の中で見せた、あの無防備な表情

それら全てが、脳裏に焼き付いて離れない

 

この夜は、一度きりの過ちだったのだろうか

それとも、人妻となった彼女と、冴えない俺の、新たな関係の始まりなのだろうか

どちらにしても、この熱い記憶が、俺の日常に深く、そして濃い影を落とすことは、間違いなかった

そして、俺は、きっとまた、彼女の甘い誘惑に逆らうことはできないだろう、と確信していた